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髪を切りに行くのが面倒で

雑記とか趣味とか一般公開されてる自分のメモ帳みたいなものです。Twitter//@srRiLiyou

ロングコート

僕は君の甘ったるい香水の匂いで気持ち悪くなった。そんな事をしなくてもいいじゃないかと僕は言うと君は煙草の臭いは嫌いだから、と笑う。違うじゃないかと僕は言いかけてやめる。彼女もわかってるはずだから。
彼女は短い髪を揺らして、萌黄色のロングコートを羽織って扉を開ける。彼女が汚れた体に香水を振り撒くのを見ていた僕はなんだから空が恋しくなって窓を開けた。高くて消えそうな空だった。
彼女は街に消えるだろう。綺麗な口紅と甘ったるい香水をつけて。僕はまだ外には出れないでいる。読みかけの本を閉じたままでいるんだ。くだらないな、と言えば彼女はまた笑うだろう。くだらないのは一体誰なんだろう? 個別で或る物は混ざりはしないからせめて寄り添うのだろうか。それをせせら嗤う僕は彼女の様に汚れているのかな。最後の煙草に火をつけて眠る様に息を吐く。彼女の嫌いな臭いだ。彼女の様に笑えたらいいのにな、ありえない事を考えてしまう。そのままでいる事はとても難しい、明日の僕は僕ではない。煙草は灰に。人は街に。僕たちはどこに? 低い天井が迫ってくる。
煙草を吸いきった僕は立ち上がる。逃げる様にも見える。せめて彼女の嫌いな煙草の臭いは残さない為に高い空が見える窓を開けたまま部屋から出た。彼女が戻るまで空が消えていない事を祈る。